14歳の少女が買春せざるを得ないカンボジアの環境

貧困が引き起こす子供を取り巻く問題
img_0.jpeg

こんにちは、たからです。
前の記事ではタイとカンボジアのフィールドワークでの経験を紹介させていただきました。
今日は、フィールドワークで特に気になった、児童に関する貧困問題に触れたいを思います。
特にカンボジアで深刻な児童買春の問題に焦点を当てながら、前回僕の意見としてご紹介した、環境を理解するというアプローチをもう少し具体的に紹介したいと思います。

カンボジアで深刻な児童労働、どれくらいの子供が従事していると思いますか?
調べてみると、カンボジアの10~17歳の児童の約40%は労働していて (ⅰ)、
そのうち25%の24万人ほどは劣悪な仕事(子供には向かない重労働や違法な仕事)に従事せざるを得ない状況 だそうです。(ⅱ)

児童労働の中でも少女の売春は世界的に見ても深刻で、ユニセフの統計によるとカンボジアの性労働者4〜10万人のうち約3分の1、つまり1〜3万人を子どもが占めている そうです。(ⅲ)

アガペー・インターナショナル代表 ブルースター氏によると カンボジアの中でも特に貧しいスワイパー村は、”小児性愛者が幼い少女を求めてやって来る場所として、世界中に名を知られて”おり数年前は村の”8~12歳の子どもはひとり残らず売り飛ばされていた”というありさまだったそうです。(ⅲ)

14歳の少女が児童売春せざるを得ない環境
売春の被害にあった14歳の少女、ダネットの話(ⅳ)を読むとその事態の痛々しさに息がつまります。

同時にこのケースが物語るのは、“少女ダネットが悪い大人達によって被害を受けた”だと簡単に言い切るには早計だということです。
背景にある環境はもう少し複雑です。

以下の表に、ダネットのケースを参考に、少女売春問題の背景にある状況をまとめてみました。

Screen Shot 2015-06-16 at 4.19.38 AM.png
(「カンボジアの少女売春市場 ”純潔取引” の実態」 を元に 著者作成)

まず、少なくとも当事者が4人(組)挙げられます。少女、少女の家族、売春業者、先進国の児童性愛者です。
表にまとめたそれぞれの経済状況、動機、行動を簡単に説明します。

少女の両親:
カンボジアには、2011年時点で1日2ドル(年間730ドル)以下という最貧困環境で生活する人々が国内人口の40%近くを締めています 。その中には、日々の食事もままならない子持ちの家族がたくさん存在することは想像に難くありません。そのよう経済状況だと、週750ドル(ダネットの家族がもらっていた額)という報酬がどれほど魅力的に思えることでしょう。特にダネットの両親のように生活費の上に借金返済という二重苦に直面している家族は、生きていくために残された唯一の手段として、娘の売春を選んでしまうという現状があるようです。倫理的には理解し難い行動ですが、親も望んでそうしているのではない点は重要です。親や家族も貧困の被害者であることも留意すべきでしょう。

少女(ダネット):
言うまでもなく一番の被害者です。貧困から家族を救うため、おそらく体を売るということの意味もわかっていないような幼い少女が、(家族に強制されたのかは定かではありませんが)いやいやながら心に傷を負ってしまいました。

売春業者:
まずカンボジアには、労働賃金が低いという背景があります。そんな状況の中で、簡単にお金が稼げる売春業は、違法であっても働き口として魅力的に映るということもあるでしょう。このような現状が多くの仲介者を生み、売春市場、少女売春市場を成り立たせているのではないでしょうか。

先進国の児童性愛者:
児童性愛者であること自体は誰からも責められることではありません。性癖を変えることも現実的に難しいでしょう。どこかにはけ口が必要なのもわからなくもありません。しかし、財力にものをいわせ、嫌がる少女を欲求のはけ口にしまうと倫理的にも法律的にもアウトです。

なぜ理解が必要か

一人一人の、立場や思考、置かれた環境を、(本当は実際に調査してありのままの現状を知れれば一番良いと思うのですが、)少なくとも理解、分析につとめることが大事だと思います。
状況は往々にして複雑ですが、そこから目をそらしては、状況の改善、問題解決はままなりません。

例えば、あるASEAN後進国の女性数名に、「買春業は取り締まわれるべきだと思うか」の話をすると「そんなことしたら、私たちの食いぶちは誰が保証してくれるんだ」と鼻で笑われるということもあるそうです。(参考)カンボジアの児童買春報告。この世で最も耐え難い悲惨な現実の一つ (コメント欄より)
職を失う女性、少女の仕事も提供しなければ買春問題を解決したことにはなりません。

これら、表面からはわかりづらいこともひとつひとつ、しらみつぶしに注意深く理解することでしか、本当の解決は得られないと思います。
特に目新しいことも言紹介できていませんが、今日の話を次回以降の
貧困問題解決へのビジネスアプローチの話に繋げたいと思います。
正直それがメインです。

今日はこれくらいで。

たからでした。

追記
悪名高かったスワイパー村は今は児童買春が取り締まわれ、状況は改善しているようです。
(参考)【カンボジアからレポート】全世界に悪名を広めた売春村「スワイパー」の今

ダネットのケースではイギリス人男性が加害者ですが、少女の買春を求めてカンボジアに訪れるのは日本人も多いみたいですね。さすが変態大国。
留学先のルームメイトにも、どこのアニメから覚えたのか
「変態!変態!」日本人であることをからかわれます。(笑)
なさけないなー。


参考文献
(ⅰ)中村まり・山形辰史編 (2011)「児童労働根絶に向けた多面的アプローチ」第1章、調査研究報告書、独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所 from http://www.ide.go.jp/Japanese/Publish/Download/Report/2010/pdf/2010_429_01.pd

(ⅱ)Shane Worrell. (2013) The hazards of youth. from http://www.phnompenhpost.com/national/hazards-youth
(ⅲ)母親が娘を売る――カンボジア児童売春の実態 form http://www.cnn.co.jp/world/35041270.html

(ⅳ)カンボジアの少女売春市場 ”純潔取引”の実態 from http://combodia.hatenablog.com/entry/2014/07/11/153612

The World Bank from http://data.worldbank.org/indicator/SI.POV.2DAY/countries/KH?display=graph


この記事へのコメント